2024/1/23 ネット販売を再開しました。
お味噌の話

2倍麹の味噌とは、

2倍麹の生味噌・一年天然醸造の特選一年粒生味噌お味噌の話

毎度、ありがとうございます。

ずいぶんお待たせしましたが、29年度の特選一年味噌と、その無添加バージョンの特選一年粒生味噌が完成しました。即日、販売を再開していますので宜しくお願いいたします。

お味噌汁など普段使いに使っていただけますが、甘みのある柔らかい味が田楽味噌を作る際の合わせ味噌として購入される方も多いです。

この特選一年味噌は一年で一回だけ仕込む限定生産の天然醸造のお味噌です。ほかに特選まろやか味噌も一年一回仕込みの限定なので、この2種類が売り切れてしまうと九重味噌のラインナップがかなり薄くなってしまいます。

天然醸造の味噌とは?

天然醸造の意味をご存知でしょうか?

何も知らないお客様のイメージというと、やや年配感がある職人肌の頑固そうなオジサンが暗い蔵で木桶に入ったお味噌を触っているようなイメージそんな感じかもしれませんが、ちゃんとした定義があるんです。

天然醸造

お味噌を熟成する際に、自然の気温で熟成させる。
人工的に室温や品温を制御するために熱を加えたり冷やしたりすることは、しない。

言葉のとおりですが、平たく言いますと「ほったらかし」です。

「天然醸造という難しそうな名前がついてるのに、楽そうじゃないか!」
と思われた方もおられるでしょうが、天然醸造の味噌が市販スーパーにはあまり並んでいない理由、メリットデメリットがあるんです。

天然醸造味噌のメリット

天然醸造味噌の熟成タンク

その土地の気候によって変わってきますが天然醸造の熟成期間は非常に長く1年前後かかります。それによって塩味の角が取れてよりマイルドで甘みのある味が特徴です。お味噌の風味や味わいもより深いものになります。

塩をイメージするとわかりやすいです。精製塩は純粋に塩の成分です。赤穂あらなみ塩や岩塩などこだわりのお塩は塩辛さの中に甘味や旨味があります。

お味噌ではそれを熟成で作り出します。もちろん岩塩など甘味旨味のある塩を最初からお味噌に使えばより甘味旨味のあるお味噌が完成します。

天然醸造味噌のデメリット

熟成桶のスペース
天然醸造の熟成タンク

良いことだけだはありません。デメリットも沢山ある為に市販品ではほとんどのお味噌が天然醸造ではありません。

熟成期間が長いために熟成に要する木桶やタンクが大量に必要です。つまり広大なスペースがないと天然醸造味噌を大量生産することはできないのです。

暖かい地方では熟成期間は短くて済みますが、東北など寒い地域ではお味噌の色づきが遅く熟成に時間がかかってしまいますので、さらにスペースが必要になってきます。

一年後の出荷の見通し

お味噌を作っても熟成しないと出荷できません。一年後の出荷を予想して材料仕入れをするので現金が必要になります。

もし一年後の出荷量が激減したら熟成中のお味噌はどうなってしまうでしょうか?

天然醸造のお味噌は待ってはくれません。在庫中も熟成が進んで色が付いていくので商品として食べ頃を過ぎてしまいます。そうなると冷蔵庫に入れて色付くのを遅らせるのですが、そこで広大な冷蔵スペースが必要になります。

「じゃあ、少しづつ時期をずらして仕込めばいいじゃないか!」

当然、その方法でするのですが四季があります。季節によって熟成スピードが違うのです。そいったことを踏まえると安定してロスを出さずに天然醸造味噌を作るというのは、意外と難しいことなんです。

天然醸造に代わる方法=温醸

そこで登場したのが温醸味噌という製法です。たいてい全国や広い地域で販売されているお味噌はこの方法で熟成されます。

温醸・速醸

仕込んだ味噌の品温を30℃など人工的に加温、制御して最適な熟成をする。熟成期間が短縮できる。速醸とも言われる。

中には天然醸造よりも温醸味噌のほうが優れた熟成をして美味しいという専門書も見ますが、必ずしもいいとは限らず、味の好みは消費者、お客様が決めることなので、どちらが美味しいかとう判断はできません。

メリットとしては、やはり熟成期間の短さで3カ月程度と言われています。天然醸造が1年熟成とすると単純に必要なスペースは1/4になります。温醸のための機器は必要ですが季節の影響も少ないです。

それでも天然醸造にこだわる理由

やさしい甘味、風味

これは天然醸造でしか出せないものだと思っています。マルコメに代表される温醸味噌の強力な香りや味はありませんが、温醸では出せない味に九重味噌はこだわります。

2倍麹って何がすごいの?

2倍麹って何?

お味噌でよく麹歩合とか2倍麹、等倍、20割麹という言葉を聞いたことがないでしょうか?

これはお味噌の発酵の元である米麹と、大豆の割合を表したもので塩分を合わせて数値を見るとどういったお味噌なのかおおよそ知ることができます。

麹歩合

米÷大豆×10=麹歩合

例えば特選一年味噌は、麹歩合20=米2÷大豆1×10 大豆1に対して米2を使ていることを表します。麹歩合20を特に倍麹や2倍麹と呼んだりします。また麹歩合10は等倍麹とも言われます。

面白いのは白味噌です。白味噌も麹歩合20~30ですが特選一年味噌と同じ麹歩合にもかかわらず白味噌特有の甘さと白色でまったく違うお味噌に仕上がります。白味噌は塩分5%ほどで普通味噌塩分10%と比べると断然低塩分なので熟成期間が短くても塩味の角がとれます。厳密には製法が違う部分がありますが、塩分の違いだけでほぼ内容は同じというところが面白いです。

麹歩合と塩分の関係

一般に麹歩合が高い、つまり米麹を多く使ったお味噌ほど甘味が強くなります。2種類の違うお味噌を比べる際に塩分が同じであれば、麹歩合の高い方が甘口になるとおおよそ想像できます。

ただし、米麹にも沢山の種類があり使用する「もやし」の種類によっては当てはまらない場合があります。

最近ブームの無添加味噌、メリットは?

そもそも味噌の添加物って何?

長期熟成1年、天然醸造の無添加2倍麹味噌

お味噌の添加物で一番に出てくるのは「酒精」です。

酒精とは95度などの高度数のアルコールです。お味噌は熟成を止めないと行くところまで熟成するのと、熟成中にガスを発生します。酒精を添加するとお味噌の熟成を止めることができます。

市販スーパーでお味噌のカップ入りを販売するには熟成によるガスの発生を止めなければなりません。店頭へ陳列するには酒精が必須になります。最近はガス抜き穴がついたカップが開発されて無添加味噌のカップ入り可能になっています。

また酒精自体は苦味がありお味噌自体の美味しさを邪魔しています。よりお味噌そのものの味を楽しみたいときは迷わず無添加を選びます。

ありのままを味わうなら無添加

酒精が入っている特選一年味噌はひとまず熟成は完了し目標とする味になっていますが、さらにお味噌本来の味を望まれる方は、無添加の特選一年生粒味噌がおススメです。

酒精の苦味が入っていないことと、出荷中も冷蔵庫に入っている間も常に酵母菌が熟成を進めているので美味しさが増していきます。

2倍麹の特選一年味噌の特徴は?

米麹を麹蓋に盛り分けていく、白味噌(西京味噌)の作り方、手順

特選一年味噌は2倍麹です。使用している米麹は極上白味噌などで使用している「長白菌」で糖化力を重視しています。熟成期間は天然醸造1年熟成です。国産米(産地は仕込むときにより違う)、北海道産白目大粒大豆、赤穂塩を使っています。

また、天然醸造2倍麹だけではありません。

米麹は機械ではなく手作りで作っている。これが大変な労力を必要としますが、じっくり時間をかけてすくすくと育った米麹はお味噌をより美味しくします。

実はお味噌の世界で「手作り」はちゃんとした定義があり、簡単には表示できないのをご存知でしょうか?

手作り味噌の定義

米麹を杉などで作る麹蓋(こうじぶた)を使って作り、熟成は天然熟成した味噌を手作り味噌と言う。

特選一年味噌は「手作り」のお味噌です。

上記の条件を満たさなければ「手作り」の表示はできません。何気なくお味噌のパッケージを見ていますが、注意して見れば「手作り」と書いてるお味噌は滅多に売っているものではありません。

今年の特選一年味噌を食べた感想は…

2倍麹、天然醸造の特選一年味噌の味噌汁

店頭で2カ月ほど売切れてましたので私も久しぶりに食べたのですが、まろやかで優しい味は健在です。

また時間が空いているせいかもしれませんが、例年よりいっそう白味噌に近いような米麹の風味が良く感じられて、いいデキだと思います。

味は普通のお味噌に比べて甘味がやや強く、風味は若干白味噌を感じさせる全体的に「ふんわり」とした優しい味わいです。

お子様は好きなのではないでしょうか。

我が家の特選一年味噌のお味噌汁は、にんじん、玉ねぎを入れてみました。具材の甘味もプラスすればもっと甘口に感じますが、ほどほどに。子供は喜びます。

Kokonoemiso Blog 著者

有限会社 九重味噌の5代目を務めております。

九重味噌の主人は歴代全員が醸造の勉強をしたことがありません。日々の味噌造りを通じて試行錯誤し、時に協力いただける取引先に教えを請い、五感を使って感じ取った実際の感覚を頼りに、その裏付けと改善を繰り返し、より良い米麹、より美味しい白味噌をめざして頑張っております。

2006年8月入社
取締役、味噌製造、地方営業発送、ホームページ運営を担当

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