2024/1/23 ネット販売を再開しました。
甘酒について

甘酒のいろいろな違いを簡単に分類してみた

甘酒 冷やして飲む甘酒について

2019年ごろにあった甘酒ブームもかなり落ち着いてきて、唸るように市販スーパーに並んでいた商品は今や数種類が並ぶ程度になり落ち着いた様子。フレーバー入りなど今までに無かった商品が登場しました。

弊社では古くからお正月、節分、雛祭りなど行事で近くの神社、仏閣などに甘酒を販売してきました。このブームのときは小型の業務用保温ジャーを導入して、日持ちが短い生・甘酒を少しづつ作れるようにしました。

今回はブームを通して生産販売するなかで経験した甘酒の違いや、選び方について私独自の視点でまとめてみました。

まずは、米麹甘酒と酒粕甘酒の大分類と、さらに米麹甘酒について様々なタイプの違いを掘り下げて行きます。

甘酒の種類

初歩の初歩ですが、甘酒には大きく分けて2種類があります。

  • 米麹から作る
  • 酒粕から作る
板麹

弊社は味噌屋なので米麹は作れても酒粕は作れません。

造り酒屋さんなら酒粕の甘酒ですが、酒も米麹から作るので米麹甘酒も得意としています。酒の米麹は酵素的にも甘酒に通じるものがある。

どちらの甘酒も初めは米麹からできています。

米麹から作る甘酒

作り方

原料は米麹、軟飯(ごはん)、湯の3点。これらを混ぜて55℃の温度を8時間以上保って糖化させることで作ります。

甘さの素になるのは、米麹の糖化酵素が、軟飯(ごはん)のデンプン質や、米麹自身の残るデンプン質を糖化(主にはブドウ糖に変える)することで甘さ得ます。

砂糖などは基本は使いません。

特徴

美肌、健康に良いなど女性が好む効果があると謳われますが、私は実感していないので触れません。

主な栄養分はブドウ糖です。ごはんは炭水化物ですが人間自身の酵素で分解吸収しますが、ブドウ糖は分解の必要がなく、早く体に吸収されます。

ポイント
  • 作るのに8時間以上かかる
  • 米麹の香りが美味しい
  • 急激な糖分の吸収に注意
  • ノンアルコール

なので急激な糖分の吸収になるので、糖尿病をお持ちの人は注意が必要です。

子育て授乳中のお母さんは母乳作りには最適です。母乳量が増えるというのは私の妻で実感済みです。また母乳はお母さんが食べるもので味が変わるというのも有名な話で、青魚を食べると赤ちゃんの食い付きが悪くなったりする。甘酒なら甘くなっていいかも。

勉強など頭を使う作業前に飲むと脳の活性化に良い。

酒粕から作る甘酒

作り方

原料は、酒粕、湯、砂糖、塩、あとは好みで生姜。

重量比で湯:酒粕=(8~3):1の割合で混ぜて、お鍋で火にかけて作ります。そこに甘くするため砂糖を加えてから、最後に塩で味を絞めます。お好みで生姜を加える。

特徴

美肌、整腸作用、健康に良いなどは米麹甘酒と似ている部分もあるのですが、私としては実感できていないので触れません。

食物繊維が豊富といいますが、酒造りで絞り切って残った物で、元は米麹なのですから濃縮されて食物繊維が多くなるということでしょうか。

ネット上のいくつかの作り方レシピを見ると、酒粕の量がレシピによってかなり差があります。酒粕さえあれば、すぐに作れるのは有難い。

ポイント
  • 酒粕があれば、すぐ作れる
  • お酒が苦手な方は不向き
  • アルコール分がある
  • あったまる

注意点はアルコール分が実際にあるということです。妊婦は要注意ですし、運転前に飲むのも避けた方が良さそうです。

複雑な効能よりも、若干のアルコールがあることと生姜を加えれば、冬はかなりあったまりそう。昔から適量の飲酒は健康に良いとされています。医薬品として養命酒なんてものもあるぐらいですから。

米麹甘酒のいろいろな違い

ここまでは甘酒の大分類でしたが、ここからは米麹甘酒について詳しくいきます。

濃縮タイプとストレート

そのまま飲めるストレートタイプと、希釈して飲む2倍や3倍といった濃縮タイプがあります。どちらも製造方法は同じで調整水が多いか少ないかの違いです。

実際に購入するときは価格的にどちらがお得か計算しましょう。

ストレートタイプの特徴

すぐ飲める手軽さが最大のメリット。毎日飲むのであれば手軽であるのはとっても重要で続けられるか否かのポイントになります。

1食用の飲み切りになっている紙パックや缶も使いやすいです。ただし保管する場所が広くなってしまったり、ゴミが多くなってしまったりとデメリットもあります。

すぐ飲める反面、飲むしか食べる方法がないのもデメリットになります。

濃縮タイプの特徴

すぐ飲めない、調理が必要なのが最大のデメリット。毎日飲むのであれば、飲める程度の量をまとめて希釈して、火入れしてから冷蔵保存するなど工夫をしないと手軽には飲めません。しかし、好みの濃さに調節できるのは嬉しい。

メリットは甘味料として砂糖の様に使うことができます。飲む用途以外の使い方が広がります。

例えば
  • ヨーグルトにかけたり
  • スムージーに混ぜたり
  • シリアルに混ぜたり
  • ジャムの様に使う
  • 砂糖の代わりに料理で使う

工夫しだいで様々な方法があります。甘味料として使っているとあっという間に使い切ってしまいそうです。

砂糖の糖度は約100です。

対して、米麹甘酒の糖度は商品によってまちまちですが、一般的な濃縮タイプなら40~50なので砂糖と同じ効果を出すなら倍以上使う必要があります。

しかし、甘さの質も違うので砂糖と併用するなどして工夫して節約するものOKです。

粒状とペースト状

ご家庭で炊飯器やヨーグルトメーカーで甘酒を作ったときは米麹とご飯の粒が残るのが普通ですが、商品の中には粒をつぶしてペースト状にしたものがあります。

ペースト状のメリットは甘味料として料理に使った場合、いつも食べている料理の外観が変わらない点。粒を残した甘酒なら米粒が料理に残って見えてしまいます。当たり前のことですが…

甘酒ブーム以前は「飲む」が主流でしたが、甘味料としての用途が広がればペースト状のほうが汎用性が高くなりメリットが多いようです。

飲む際でも粒が残っていると喉越しが悪いとうことで、女性、子供はペースト状が好まれる傾向があると同業者さんから聞いたこともあります。

生産者の視点からは、粒が残っていると火入れ加熱殺菌したときに温度ムラになり同じ品質のものを作りにくいなどの理由もあるそうです。

全麹の甘酒とは

全麹甘酒とは、
ご飯は使わず米麹だけで作る甘酒のことです。

特徴
  • 甘さはやや控えめ
  • 酵素量は多い
  • 米麹の香りが強い
  • コストがかかる

前述、甘酒は米麹の消化酵素がデンプン質を主にブドウ糖に分解することで甘さを得ます。米麹だけではデンプン質が不足するので、ご飯を加えてやることで糖化する材料を与えてやる意味があります。

つまりは全麹甘酒は酵素量は多いですが、糖度においては比較的低いということです。

弊社は伝統的に全麹かつ濃縮で生産しています。実際に米麹の酵素量の分析をして完成した甘酒の糖度の計測を毎回行っていますが、糖度40前後まで上がりますが以上にはなりません。

濃縮でご飯を加えた甘酒の糖度は50近くまで上がります。

生甘酒と、そうでない甘酒の違い


特に定義が決まっている話は聞いたことがありませんが、生産者から言わせると以下、

生の甘酒とは

甘酒完成後、消化酵素を失活させ、同時に不要な雑菌も殺菌する火入れ加熱殺菌処理をしていない甘酒のこと

火入れをしていない甘酒の日持ちは1週間程度とかなり短く、市販スーパーに流通させるには無理があります。

そこで完成した甘酒をスパウトパウチや瓶容器などに入れて容器丸ごと80℃以上、20分間以上といった基準で加熱(火入れ)をすることで、米麹の消化酵素を失活し、雑菌を減らすことができ劇的に賞味期限を延ばすことができます。

一般的には賞味期限が6カ月~1年などに伸ばせます。

生甘酒のメリット・デメリット
  • 麹の消化酵素が生きている
  • 日持ちがしない
  • 必ず要冷蔵
火入れするメリット・デメリット
  • 賞味期限が長い
  • 常温保存も可能
  • 消化酵素は失活

健康思考で「酵素も生きたまま取り入れたい」という人もおられますが、私個人としては効果を実感していないので、それほど生こだわる必要があるのかは疑問です。栄養素としてはどちらの甘酒も完成した時点で同じです。

生甘酒の日持ちの悪さは冷凍保存することで1~2ヵ月保存できるのでカバーできます。

消化酵素が活性しているメリットを生かすなら漬け料理もできるのが生甘酒の特徴。ただし塩分がないので調理の際には素材が傷まないよう漬け時間には注意が必要です。

最後に

いかがでしょうか、甘酒といっていも様々特徴があります。

重要なのは、手軽に、難なく、毎日飲んでも苦にならない、手間にならないが一番大切です。

それぞれの特徴を理解したうえで自分が飲みたいと思う甘酒探しの参考になれば幸いです。

健康のために飲むなら以下の記事「甘酒の酵素添加」段落部分もおすすめです。

Kokonoemiso Blog 著者

有限会社 九重味噌の5代目を務めております。

九重味噌の主人は歴代全員が醸造の勉強をしたことがありません。日々の味噌造りを通じて試行錯誤し、時に協力いただける取引先に教えを請い、五感を使って感じ取った実際の感覚を頼りに、その裏付けと改善を繰り返し、より良い米麹、より美味しい白味噌をめざして頑張っております。

2006年8月入社
取締役、味噌製造、地方営業発送、ホームページ運営を担当

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